雪、で思い出しましたが、ちょうどオルハン・パムックの『雪』を読み終わりました。
物悲しい物語。またまた私の知らないトルコを見たような感じ。 1昨年の秋にご紹介したトルコ語版を1度読み始めたものの、難しくて頓挫していたのを、最近になって日本語訳を立て続けに読んでいます。 でも日本語訳を読んで実感、これじゃ私のトルコ語レベルでは難しいはずだわ。日本語でさえ、読み返してしまう箇所があるのだから! 淡々とした文体は非常に好みです。 特に『イスタンブル』という本で、イスタンブルの街の風景や歴史とともに、自分の思い出や作家になったいきさつを語っているのですが、すごく興味深くて面白かった。 挿入されている写真がまた素晴らしい。 旅行してて、10年前のイスタンブルもそうだし、ポルトガルのリスボンでも感じたのだけど、栄耀栄華を誇った時代、トルコならオスマン・トルコ、ポルトガルなら大航海時代を経て、世界のメトロポリスから、今は一都市に成り下がって(あえてこの表現を使いますが・・)いる悲哀みたいのを感じるのですよね。それをhüzün(ヒュズン=憂愁)と表現されていて、あ!私の第一印象は間違いじゃなかったんだ!とか、私も城壁沿いに歩いた歩いた、などと勝手に親近感抱いたりして。 しかしながら、今は新市街のどんどんヨーロッパ化している地域ではもう全く感じられないのだけど、ヒュズンは。でも、ちょっとした横道に入っていくと、すぐになんとなく出会えるはず、そして人々の心の中にも。 トルコ人と話しててよく思うのは、何か不本意なことがあったときの、まーしょうがないさっ神様=アッラーの思し召しだからっていう諦めの境地に達するのが、私の感覚からすると、すごく潔い気がするのだ、あまり悪あがきしないというか、あるがままの運命を受け入れるというか・・かと言って、私のようによりよい結果のために悪あがきしたとしても同じ結果になることの方が多い(どころか、かえって悪化させることもある・・)わけで、ある意味無駄な努力をしない・・ということなのか・・それでも時に歯がゆく感じることもある。 なるほど~これもヒュズンの成せることなのか?!と。 いろいろな意味でとても興味深かったです。機会があれば、さらにオルハン・パムックの本を読もうと思います、ただし日本語で!! 最近よく感じます。トルコが好きで回数だけは行ってるけど、トルコのこと何も知らないんだな、私、と。 よくよく考えると、自分の国である日本の事だって、どれだけ知っているかしら???(←おいおい!)
by kara_melek
| 2008-02-03 23:59
| book
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